チエコ・ツトムの言い訳

2/3
41人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
ツトムは水族館に行った日あたりから、かなり携帯を気にするようになりました。 そして、メールも頻繁に来ているようで、わたしが 『誰とメールしてるの?』 と聞くと 『小林』 と、車仲間の名前を言うのでした。 そして 『今度の週末、みんなで集まるんだって。 俺も行くけどいいよね?』 答えが決まっている聞き方。 『そう。 ショッピングに付き合ってもらおうと思ったのにな。』 そう私が答えると 『たまには実家のお母さんと行ってくれば? 喜ぶんじゃない?』 『そうね。』 そう答えるしかありませんでした。 夜寝るときも、私に背中を向けて携帯を握っています。 いつもなら私とくっついて寝るのに。 私が後ろからツトムの腰に手を当てると 『ごめんね。ちょっと疲れてるから寝かせて。』 そう言って軽くキスはしてくれましたが、背中を向けて寝てしまいました。 私は置いていかれた淋しい気分になり、ツトムと背中合わせで目を瞑りました。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!