少女~ゲルダ~

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少女~ゲルダ~

少女ゲルダを見つけたのは、 本当にワタシの中で、最大の希望だったと思う。 それは、クラムボンが出来上がったコトと、 同じことだと思っている。 クラムボンは本当に優しい。 わたしを失うことが怖いせいか、最後の砦、 氷の城の中にはできるだけ入らないようにしていた。 それも、わたしが拒んだから。 きっと、クラムボンは涙をこぼしていることに間違いはなくて。 その姿は、ゲルダによく似ている。 ゲルダは少年カイがわたしを取り込み、 今までにない位の力でゲルダを拒んだ。 けれども、それは本心ではない。 どちらかというと、カイはもっと、 ゲルダに自分だけを見て欲しいだけだった。 わたしの全てがカイの中に入ったわけじゃない。 涙をこぼした、ゲルダの前髪に潜んでいた。 ゲルダなら、きっと。 ミザリーとギルティーの不幸をきっと。 わたしは、世界のバランスをとるために存在する。 それは、世界を作ったアナタが決めた。 だから、わたしはゲルダと共に、再び氷の城へ旅をするしかなかった。 世界のバランスを保つためだけに。 その途中、自然がワタシを見つけると、驚きながらも、 ゲルダに助言をしていた。 そんなやりとりを見ていたクラムボンが嫉妬して、 ゲルダの行く手を阻んだのも。 ワタシを求めてのこと。 ゲルダには申し訳ないと思うけれど、 ゲルダはこんなにも世界に求められている。 まるで、アナタのように。 途中、盗賊の娘の心を変えることもできた。 鳩や馴鹿たちにも助けられて。 ワタシは、 もう少しで世界が本当の姿に戻ることができる、 と確信していた。 けれども。 クラムボンの数が増えることで。 ワタシは、消えていく。 ゲルダはカイを救い、アナタが望む世界を作り上げた。 きっと、アナタは満足だろう。 そう。 アナタの望む世界は、バランスのとれているモノなのだから。
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