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スノーファング~アレーシャ~
ゲルダの傍にいながら、ワタシの力を求めるモノたちが現れた。
そこには雪の女王の作り出した一族、スノーファングが住む場所。
暗い暗い洞窟に、アレーシャは苦悩していた。
アレーシャ自身。
自分で束縛している動物たちをからかっては、どこか満たされない気持ちでいっぱいで。
自身の体には親が愛という傷を付け。
相手を傷つけることこそが、愛の印、と思っていた。
どこか、その行為がおかしいと感じ始めたのは。
自分が捕まえた人間、ラマーンの言葉たち。
ゲルダがアレーシャに勝負を挑んた時。
アレーシャの苛々が最大限に発した。
アレーシャは、縛られることで自分自身の存在を認められると。
自分自身も同じように大切に愛しく想う者を離さないと、涙をこぼすように、願っていた。
ラマーンの言葉で、どこかおかしいと思いながらも。
ワタシを求めていたのは、アレーシャだけではなく。
むしろ、アレーシャを愛するラマーンだった。
神がいるのであれば、アレーシャにこの宝箱の正体を教え。
恐れることが起こらないことを、教えたい。
ゲルダは一人で脱出させることがそのキッカケになることくらい、ワタシでも簡単にわかった。
その事はワタシにとっても、ゲルダにとっても好都合。
ゲルダの力だけでは、太くて強い縄を解く事はできない。
けれど、ワタシがほんの少しだけ力を貸せば、可能で。
ゲルダに傷をつけることは、本意ではないけれど。
ゲルダが心から望むことならば。
それは、アレーシャも同じで。
アレーシャの望むモノは、決して強制的な拘束のない、自由な場所。
欠かせないことは、自分を望む者と共に過ごすこと。
それは、ラマーンが望むコトでもあった。
アレーシャは、自分の束縛を自ら解き。
清々しい姿で、ゲルダへ感謝の気持ちを見せて。
二人は、新たな場所へと向かい始めた。
その最中。ワタシの一部が、ラマーンの宝石箱の隅に佇んでいた。
ラマーンはふと、思い出したように宝箱を開ける。
中には何も入っていないけれども、アレーシャは大きな声で笑いだした。
わたしたちは何よりも自由になって、これから生きていく。
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