6人が本棚に入れています
本棚に追加
少年~カイ~
ワタシは久しぶりにミザリーの暮らす城へと帰還した。
中にはすっかり変わってしまったカイが、
ミザリーの傍で眠りにつき始めている。
カイもワタシの破片を受け、自分の望みの本質を忘れてしまい。
自分が従うコトで、ゲルダを守ろうとしていた。
ゲルダ自身のコトは、一部分のみ、感じ。
そろそろ、カイの心が叫び始めていた。
温かみのあるあの子を、忘れるコトなんてできない。
これ以上あの子に、冬と雪の厳しさを感じさせたくない。
それができるのであれば、俺はどうなったっていい。
ワタシに分かることは、
ゲルダもカイも、お互いの幸せだけを考えている。
悲しいかな、それはギルティとミザリーの悲劇に重なり。
ゲルダが、ミザリーに銃を向けることになってしまった。
カイは間違ったワタシの力を拒否して、
本当に欲しいと思うワタシの力を。
ゲルダの空気を感じるコトで、手に入れる。
それは、やはり。
ゲルダが会えない間に、
カイの事をどれだけ思っていたか。
周囲を巻き込む程の力は、
悲劇を変えるコトができるかもしれない。
ゲルダはミザリーを消そうとしても、カイは止めた。
ギルティーが、ミザリーの願いを受けないはずもなく。
カイを滞らせようと、力を放つ。
けれど、ワタシの分身がカイとゲルダを守っている。
ギルティーは苦々しく、ワタシを睨んだ。
さぁ、ギルティー。
真実の愛を思い出しなさい。
これが『真実の愛』ってやつなのかな……?
俺はそんなことを、心のどこかで考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!