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「お姉ちゃんに遊んでもらっていいね」
ブロックを積み重ねて遊ぶ娘の頭を撫でて母は言った。
優しい手で撫でられ、娘はとても嬉しそうだ。
その事を羨ましく姉は見ていた。
そんな姉に母は、微笑みかけた。
「お姉ちゃん、危ない事しないように見ておいてね」とだけ言い、洗い物をするため台所へ戻って行ってしまった。
撫でてくれない頭を自分で撫でつけ、心のなかで「偉いね」と自分を褒めてあげた。
寂しくても、自分はお姉ちゃんなんだから強くなきゃいけないと思ってきた。
妹を守るため、自分は存在しているのだから。
まだおぼつかない足取りで歩く妹の手を握り散歩をしていた。
掃除の邪魔になるからと家から追い出されてしまったのだ。
キュッキュッと鳴る靴の音が面白いようで、一歩踏み出しては声をあげて笑っている。
楽しそうにしている妹を見て、姉は大きくため息をついた。
「友達と遊びたいな」
近くの公園で遊んでいる子供達を羨ましげに見つめた。
妹がいなければ、私もああやって友達と遊べたのかな?
妹がいなければ、お母さんにたくさん頭を撫でられていたのかな?
現実逃避をしたらきりがない。
気を引き締めるため、妹の手をギュッと握った。
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