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美里は慌てて茜の口を塞ぐ。
急に口を塞がれ、何か文句を言っているがモゴモゴしているため言葉にならない。
「あの方に聞こえてしまう。あの方は、いつも私達を見てるんだから」
注意去れ、さっき言ってしまった事を反省した。
耳を垂れる茜。
これ以上、あの方を非難するような事を言わないと確信した美里は口から手を離した。
あの方がどんなに素晴らしい方で、またどんなに恐ろしい方なのか二人も痛いほど知っていた。
少しでもあの方から気持ちを離してしまうと、見捨てられてしまう。
そして、見捨てた者には二度と手をさしのべる事はない。
あの方に忠誠を尽くし、あの方にすべてを捧げれば、このうえない幸福がまっている。
二人は女の子に背を向け、窓から飛び降りた。
同時に朝日が上り、二人の体に光りが照らされた。
真っ白な体は透き通り、着地する前に姿を消した。
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