第二章 助ける者 食らう者

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月の光から力をかりて姿を現す白猫にとって、太陽が沈むまでの間は休息。 誰もいない真っ暗な空間で、体のない美里は自分が存在しているのかたまに疑問に思ってしまう事がある。 無音の世界。 さっきまで仲間と話、魂を助けたのはただの空想で、本当は死んだままさまよっているのではないかと。 早く月が上ればいいのに。 早く、望姉と茜姉に会いたい。 一人になってしまうと、嫌な事ばかりの思い出が蘇ってくる。 お父さん、お母さん、紬。 私が死んで三年。 最初は悲しみで毎晩のように泣いていた。 その姿を、美里はこっそり見ていたのだ。 そのたびに、自分がどれほど愛されているのか実感できた。 やっぱり自分は、親にとって特別な存在なのだと自信もついた。   しかし、泣いてばかりいられない親は、その悲しみを乗り越え、今では平穏を取り戻していた。 食事をしながら泣くことも、美里の部屋を見て泣くこともなくなった。 それでいいんだ………。
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