第二章 助ける者 食らう者

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すると、後ろから誰かに抱きしめられている感覚がした。 誰かはわからない。 抱きしめられている事も、もしかしたら幻なのかも知れない。 でもその手は温かく、怒りと憎しみで満ちた心を静めてくれた。 目の前にある光景が遠のいていく。 変わりに、真ん丸くてとても綺麗な満月が見えてきた。 気づくと、空を見上げたままスカイツリーのてっぺんにたっていた。 お尻に力を入れると、長い尻尾が揺れる。 「ああ。もうこんな時間になったんだ」 幻のせいか、体が重くてだるい。 かなり高い場所に姿を現したので、強風が体に吹き付けた。 まだしっかりしない体は、フラフラと左右に揺れる。 「二人は、どこにいるんだろ………」 重たい頭を振るい、匂いに集中した。 かすかに、望美の匂いがした。 目を細め、匂いがする方面を見た。
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