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さすがに、こんな高いところから望美の姿を発見する事はできない。
スカイツリーから飛び降り、隣のビルへうつった。
匂いを辿り、何件と飛び移りながら移動した。
高くジャンプして低い建物から高い建物へうつると、白猫が背を向けて座っていた。
「望姉」
匂いで確信があった美里は、望美の名を呼んだ。
振り返った望美は、ニッコリ笑う。
「今日は美里が一番ね」
どうだ、と言わんばかりに胸をはると望美はクスクスと笑った。
同じ白猫なのに、とても品があり綺麗だ。
ただニッコリと笑ってくれただけなのに、心が軽くなる。
だるかった体も、今ではすっきりしていた。
あの幻を見ていた時の気持ちが晴れていくようだ。
どんなに二人の存在が支えになっているのか実感する。
「二人に会えてよかった」
ふと出た言葉に、美里は頬を赤らめた。
心に思ったことを、つい口走ってしまった。
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