第二章 助ける者 食らう者

5/27
前へ
/632ページ
次へ
さすがに、こんな高いところから望美の姿を発見する事はできない。 スカイツリーから飛び降り、隣のビルへうつった。 匂いを辿り、何件と飛び移りながら移動した。 高くジャンプして低い建物から高い建物へうつると、白猫が背を向けて座っていた。 「望姉」 匂いで確信があった美里は、望美の名を呼んだ。 振り返った望美は、ニッコリ笑う。 「今日は美里が一番ね」 どうだ、と言わんばかりに胸をはると望美はクスクスと笑った。 同じ白猫なのに、とても品があり綺麗だ。 ただニッコリと笑ってくれただけなのに、心が軽くなる。 だるかった体も、今ではすっきりしていた。 あの幻を見ていた時の気持ちが晴れていくようだ。 どんなに二人の存在が支えになっているのか実感する。 「二人に会えてよかった」 ふと出た言葉に、美里は頬を赤らめた。 心に思ったことを、つい口走ってしまった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加