第二章 助ける者 食らう者

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もう一度念を押す望美に「わ、わかった」と返事をした。 なぜか二人とも、初心に戻ったようなピリピリ感がある。 美里に聞こえないように、二人で耳打ちしながら話をしていた。 その顔は真剣そのものだ。 すっかり仲間外れに去れ、頭を垂れた。 下から吹き付ける風が、毛並みをなびかせる。 話し合いが終わり、町並みを見下ろす美里の隣に二人は立った。 「さっ、行きましょう」 「へましないでよー、美里」 望美は優しく美里の頭をなでニッコリほほえむ。 内緒話をしていた事に、少し腹をたてていた。 それを知ってか、返事をするまで頭をなでつづけた。 毛並みがぐしゃぐしゃになっていく。 しかも、手に力が入っているせいか若干痛い。 「はい」 負けてしまった美里は、ようやく返事をした。 「よろしい」 ようやく撫でるのを止め、望美が一番にビルから飛び降りた。 続いて茜が飛び降りる。 やっぱり自分はまだ子供だから、大事な話し合いには参加できないのだろう。 モヤモヤする中、美里も二人を追ってビルから飛び降りた。 病院の前に降りたった三人。 消灯時間なのか、灯りがついている窓は数点しかない。 見回りをしている懐中電灯の光が、火の玉のように動き回っている。 美里はその光を見て、鳥肌がたった。 ゴクッと唾をのみこむ。 喉の音に気づいた茜は、意地悪に笑った。 「もしかして、怖いの?」 「そ、そんな事ないもん」 と言ったものの、正直幽霊とかは怖い。  「大丈夫。私達だって、幽霊と同じようなものだから」 確かに。 茜に言われ、恐怖心が減少された。 そんなやりとりをしている二人を無視し、望美は中へと入って行った。
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