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「誰か5階を押して、違う階にでもおりたのかな?」
独り言を呟きながら6階のボタンを押す。
「物に触れたり、通り抜けたり。すごい便利な体だよねー」
何か企んでいるのか、茜の声は弾んでいた。
それを察した望美が「怖がらせるような事したら駄目よ」と注意する。
「わかってるって」
言いながら、目の前にある看護婦の足に触れた。
看護婦は声にならない悲鳴をあげ飛び上がった。
壁に体をくっつけ、目を見開き何もない空間を見つめている。
触られた感覚がした足を撫でながら、見渡す顔は恐怖に満ちていた。
茜は腹を抱えて笑っているが、望美に睨まれ一気に冷めてしまう。
「駄目って言ったわよね?」
低い声に、茜は「やりすぎました」と謝った。
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