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ぐにょぐにょと………。
まるでお腹の下を何かが動き回っているかのように、膨れたお腹が蠢いていたのです。
「千穂ちゃん………」
「う、産まれる………!産まれるわ!私と健の愛の結晶が!!!」
苦しそうに笑う千穂ちゃん。
一刻も早く逃げたしたかった美咲ちゃんでしたが、恐怖で足が動きません。
やがて千穂ちゃんが一際大きな悲鳴をあげた瞬間、ズルリと千穂ちゃんの足の間から何かが産まれました。
そして、それを見た瞬間………美咲ちゃんは悲鳴を上げて這いつくばるように逃げだしたのでした。
好き、愛してる、大好き、好き、好き、好き………
真っ黒な大量の想いの文字で形成された赤子のような生き物が、千穂ちゃんの足の間を蠢いていたのです。
以来、千穂ちゃんは学校へ来ていません。
そして美咲ちゃんも千穂ちゃんの家へと行っていません。
だって、行ったら………
あの想いの赤子が成長しているかもしれないから………。
貴方の周りには想いが強すぎる人がいませんか?
もしかしたら、貴方自身が想いが強すぎる人ですか?
でも、その想い強さは少し注意したほうがいいですよ。
溜まりすぎた想いが思わぬ形で生み出されてしまうかもしれないですからね………。
強すぎる想いには、ご用心ご用心………。
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