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ゆきちゃんと同じクラスの侑士君には弟がいます。
名前は、総士君。同じ学校に通う1年生です。
侑士君は、弟のことがあまり好きではありません。
弟と一緒に登下校をしたこともないし遊んだこともありません。
家ではお父さんとお母さんにもっと総士と遊びなさいと言われますが侑士君はどうしても弟と一緒にいるのが嫌でした。
弟がまだ幼い頃はそうでもなかったのです。
むしろ生まれたときなんて、すごく喜んで毎日弟の顔を見てお兄ちゃんだよと笑いかけていたくらいです。
弟が歩けるようになってくると、転ばないようにと手を繋いであげたり弟が眠たくてぐずり出したらおんぶをしてあやしてあげたりと非常に優しいお兄ちゃんでした。
お兄ちゃんお兄ちゃんと後ろを着いて回る弟が侑士君はとても好きでした。
じゃあ、いつからこんなに弟と一緒にいるのが嫌になったんだろうと侑士君が考えているとあるきっかけを思い出しました。
それは、弟が5歳の時のことです。
お母さんと侑士君、弟一緒に買い物に行った時のこと青信号に変わって先に道路を渡ろうとした弟は信号無視の車にはねられてしまいました。
すぐに弟は病院へと搬送されましたが包帯や擦り傷だらけの顔に沢山の管が着けられた身体を見て、お父さんとお母さんもですが侑士君はすごく泣きそうになりました。
僕が、弟の手をちゃんと握らなかったらこんなことになってしまったんだ。
そう自分を責めながらも侑士君は必死に弟を助けてくださいとお医者さんにお願いをしました。
お医者さんの治療とキセキのおかげか、弟は事故から一週間後無事に目を覚ましてくれました。
目を覚ました弟に会った時、両親は泣いて喜びましたが侑士君は涙が出ませんでした。
むしろ恐怖を感じてしまっていたのです。
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