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苦手な勉強のなかでも、特に一番嫌いと言えるくらいの算数………。
しかもテストとなれば、毎回0点に近い点数を取ってしまう夏美ちゃんにとって算数のテストで100点をとるのは夢のまた夢でした。
「よし!」
夏美ちゃんは筆箱からペンを取り出すと、ガムに紫乃ちゃんの名前を書きました。
どこからどう見ても普通のガム、本当にこれで成り代われるのかなと疑問に思いながらも、夏美ちゃんはガムを口の中に放り込んで噛んだのでした。
次の日、起きてこれといった変化もなくガッカリしながらも、夏美ちゃんは学校へと向かいました。
算数のテストは1時間目、夏美ちゃんは絶対0点かもしれないと思いながらも教科書ノートをしまってテストが配られるのを待ちました。
テスト用紙が回ってきて、先生の始めの合図で問題をひっくり返した瞬間、夏美ちゃんはある違和感を感じました。
計算問題、図形の問題に苦手な長文問題………。
普段だったら全部苦戦しているはずなのに、今日は見ただけて答えが全てわかるのです。
分かる!全部分かる!と夏美ちゃんは計算過程までも全部書いて、気づけばクラスのなかでも一番にテストが終わってしまいました。
制限時間になり、隣の人と用紙を交換して配られた答えを見ながら答え合わせをしていると、隣で採点をしていた男子が声をかけてきました。
「お前すごいな!」
「え?」
「このテスト、全問正解だぜ!」
「嘘!?」
慌てて答案を覗き込むと、そこには沢山の丸と大きな字で堂々と100点と書かれた夏美ちゃんのテスト用紙がありました。
「夏美ちゃんすごいね!私全然だったよ」
「っていうか、このテストで100点とったのお前だけじゃない?」
初めての100点。
こんなに沢山の丸は初めてと夏美ちゃんは嬉しくなったのと同時に、昨日噛んだ成り代わりガムを思い出しました。
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