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「ゆきちゃんはズルイ………!」
どれだけ成り代わっても、健君と喋ることが出来ないでいた夏美ちゃん。
ただコワイ話を知っているだけで、憧れの健君の隣で楽しそうにお喋りが出来るなんてズルイと夏美ちゃんは、ガムにゆきちゃんの名前を勢いよく書き込みました。
先程までの不安はありません。
あるのは、ゆきちゃんへ対する嫉妬と健君への恋心のみです。
夏美ちゃんは、ゆきちゃんの名前が書かれたガムを見てニヤリと笑うと、口へと放り込みました。
そして、歯をたてようとした瞬間………。
グシャリ………!
噛む音と同時に個室から夏美ちゃんの姿が消え、それと同時にゆきちゃんの名前が書かれたガムが床へと落ちて転がったていたのでした………。
「ねえ、ゆきちゃん次のコワイ話はなに?」
「そうだねー………次は、成り代わりガムの話でもしようか」
「成り代わりガム?」
健君の言葉に、ゆきちゃんは持っていた花柄のノートをパラパラと捲ると、成り代わりガムの話を始めました。
「あのね、成り代わりガムっていうのがこの世に存在するんだけど、見た目は何の変哲もないガムなんだって
だけど、そこに成り代わりたい人の名前を書いてから噛むと、その人に成り代われるんだって
ただ一つ問題があるんだけど………
もし成り代わりガムに名前を書かれて噛まれたら、名前を書かれた人は消えてしまうの
………例えそれがガムを噛んで成り代わっている人でもね」
貴方には成り代わりたいと思えるくらいの憧れの人がいますか?
もし、その人に成り代われるなら貴方はその人になりたいですか?
でもお気をつけください………。
もし成り代われても、またすぐに別の人が貴方に成り代わろうとしてきますから………。
成り代わりガムには、ご用心ご用心………。
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