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「遠足残念だったねー」
「まあ、どっかであるからいいんだけどね」
「私の弟なんて朝から大泣きして、てるてる坊主引きちぎっちゃってさ」
依子ちゃんがそう笑いながら話すと、一緒に話に参加していたゆきちゃんが。え?と依子ちゃんを見ました。
「てるてる坊主にちゃんと鈴をあげた?」
「鈴?」
「知らないの?てるてる坊主の話」
そう言うと、ゆきちゃんは持っていたノートを開いて、てるてる坊主の話を始めました。
「てるてる坊主の歌の歌詞に金の鈴あげようって歌詞があるんだけど、あれはてるてる坊主が一生懸命願いを届けようとしてくれてるから、そのお礼に金の鈴をあげなさいって意味が込められてるんだって
だけどね、もし願いが叶わないからっててるてる坊主を傷つけたら………てるてる坊主は一生懸命頑張ったのに傷つけられたら当然相手を恨んで、それはそれは恐ろしい仕返しが待ってるんだって………」
「てるてる坊主こわっ!?」
「私、鈴とかあげてたかなー?」
ゆきちゃんの話に皆は怖がったりと思い思いの反応をしていましたが、ただ一人………依子ちゃんだけは今朝の武君の行動を思い出していました。
泣きじゃくりながらてるてる坊主の頭を引きちぎる武君………。
頭を引きちぎられて、落とされたてるてる坊主の顔は、滲んでいたせいもあってかどこか恐ろしげに見えたのです。
「武………大丈夫かな?」
依子ちゃんは、授業を受けながらもずっと不安は拭えませんでした………。
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