スケッチ少年

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4年生の紗英ちゃんがその噂を聞いたのは、ある日の休み時間の事でした。 「ねえねえ、スケッチ少年の噂って知ってる?」 「スケッチ少年?」 そうクラスメイトに聞き返すと、クラスメイトはあのね………と声を潜めて話し始めました。 「ゆきちゃんから聞いたんだけど、ウチの学校の近くに小さな公園があるでしょ?夕方ねそこを通ると滑り台の前に座って大きなスケッチブックを持って絵を描いている男の子がいるんだって! それでね、その子に私の絵を描いてくださいって言うと、自分の未来の姿を描いてもらえるんだって!」 「へえ、そうなんだ」 「だけどね、コワイ噂もあってね……… その男の子にね自分が恨んでいる人の名前を言うと、その男の子が言われた人の顔を苦しんで描くんだって! それでね、名前を言われて男の子に描かれた人はね………死んじゃうんだって!」 「えー何それコワッ………」 「もー!全然怖がってないじゃん!」 ごめんごめんとクラスメイトに謝りながらも、紗英ちゃんはどことなくその噂をまだ心の中では信じきれていませんでした。 放課後、いつもなら友達と一緒に家へと帰るのですが委員会があった為、紗英ちゃんが学校を出る頃には、辺はすっかり夕闇に覆われていました。 紗英ちゃんは早く帰ろうと、いつもなら通らないのですが近道ということもあって、学校の近くにある小さな公園へと向かいました。 学校の近くにある小さな公園。 そこは普段滅多に人がいないせいもあってか、静まり返っていて夕闇のせいもあってかとても不気味に思えました。 さっさと通り過ぎようと、紗英ちゃんが早足で進んでいると公園の奥からボソボソと話し声が聞こえてきました。
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