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「ねえ、さっき菜穂ちゃん………女の子が頼んでいた絵、ちょっと見せてもらっていいかな?」
先ほど、菜穂ちゃんが言った二人の人物の名前を紗英ちゃんはよく知っています。
何故なら、菜穂ちゃんイジメの首謀者がこの二人なのです。
スケッチ少年は、黙って紗英ちゃんにスケッチブックを見せると、紗英ちゃんはその絵を見て思わず固まってしまいました。
真っ白なスケッチブックに描かれた絵………。
そこには、血だらけで苦悶の表情を浮かべているエマちゃんと明宏君の姿があったのです。
ゾッとした紗英ちゃんは、走って公園を出て家へと帰りました。
一体何だったの!?と、心臓の鼓動が早くなる中で思い出すのは苦悶の表情を浮かべているエマちゃんと明宏君の絵………。
クラスメイトは、名前を言われて男の子に描かれた人は死んでしまうと言っていました。
まさか、あの絵は二人の死んだ時の姿………!?
鉛筆でしたが、リアルに描かれた二人の姿が頭から離れない紗英ちゃんは、その日の夜はなかなか寝付くことが出来ませんでした………。
次の日、紗英ちゃんが学校へ行くと、学校は朝から騒然としていました。
何故なら………。
「宮城エマと国良明宏が死んだんだって!」
「えー!?嘘!?マジで!?」
「何でも二人で一緒に帰っていたところを車に轢かれたんだってさ!しかも、何回もしつこく轢かれたうえに犯人まだ見つかってないんだって!」
「二人共ギリギリまで生きてたらしいけどさ、その分苦しむ時間が長かったらしくて、血まみれですっごい表情してたんだってさ」
血まみれ、苦悶の表情………。
スケッチ少年が見せてくれた絵と同じだと紗英ちゃんはゾッとしました………。
固まったまま動けない紗英ちゃん、するとその隣を菜穂ちゃんが通り過ぎてボソッと呟きました。
「いい気味………」
そう言って菜穂ちゃんは、昨日公園で見せた様な笑みを浮かべながら歩いて行ったのでした。
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