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(どうして!?どうして私がこんな目にあわなきゃいけないの!?)
直接菜穂ちゃんに手を出したわけじゃないのに………!
紗英ちゃんの心は、菜穂ちゃんに対する不満と恐怖と怒りでいっぱいでした。
このままだと、次のターゲットは自分かもしれないし、仮にそうじゃなくても他の皆からは呪われたクラスの子だと無視されるに違いない………。
何とかしないとと必死に考える紗英ちゃん、考えに考えて紗英ちゃんはある場所へと向かいました。
その場所とは、学校近くの小さな公園………。
夕闇の中を紗英ちゃんが公園へとたどり着くと、大きなスケッチブックを抱えた少年が滑り台の先に座って絵を描いています。
紗英ちゃんが近づくと、スケッチ少年はジッと無言で紗英ちゃんの顔を見つめています。
軽く深呼吸をしてから、紗英ちゃんはスケッチ少年に向かって口を開きました。
「須藤菜穂の絵を描いて」
紗英ちゃんが考えた事………。
それは、自分の名前が言われる前にスケッチ少年に菜穂ちゃんの名前を言ってしまうことでした。
こうすれば、菜穂ちゃんは死んでしまうから紗英ちゃんの名前は呼ばれないから大丈夫と考えたのです。
スケッチ少年は鉛筆を動かすと絵を描き始めました。
これで、これで自分は死なずに済む!と、紗英ちゃんが思わず笑みを浮かべた瞬間でした。
ギイ………と、後ろで何かが軋む音が聞こえたのです。
一体何の音だろうと、紗英ちゃんが後ろを振り向けば、そこには衝撃の光景が広がっていたのです。
「須藤さん………?」
ブランコの一番上の柱、そこには鎖ではなくロープが一本ぶら下がっていて、そこにはダランと手を伸ばしてぶら下がっている菜穂ちゃんの首吊り死体があったのです。
軋む音の正体は、風に揺れて動く菜穂ちゃんの死体がぶら下がるロープの音が軋んで聞こえた音でした。
「え、嘘………!?」
恐怖とパニックで頭が真っ白になって思わずその場に座り込む紗英ちゃん。
すると、そんな紗英ちゃんの肩を誰かが叩きました。
ゆっくり振り向く紗英ちゃん、そこには絵が描き上がったのかスケッチ少年が無言で紗英ちゃんを見下ろしていたのです。
ゆっくりとスケッチブックを紗英ちゃんに向けるスケッチ少年………。
そして、完成された絵を見せた瞬間………紗英ちゃんの悲鳴が公園中に響き渡ったのでした………。
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