ゆきちゃんのノート

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「最近大輔君学校に来ないね」 「私、お母さんから聞いたんだけど、大輔君家で倒れたんだってさ」 「私も聞いた!なんか、それから部屋に閉じこもって来る………来る………とか呟いてるんだって!」 「何か怖いことがあったのかなー」 今日も小学生達の噂は語られます。 同級生から聞いたコワイ話、お兄さんお姉さんから聞いたコワイ話、パパママから聞いたコワイ話に先生から聞いたコワイ話と………。 沢山の怪談が今日も人から人へと語られていくのです。 「あ、ゆきちゃん新しいノートにしたんだ!」 「うん、前のノート使い切っちゃったからね!」 ゆきちゃんは、新しく買った水色の水玉ノートを持ってニッコリ微笑みました。 「それに、新しい怪談も手に入ったからね………」 「え、何か言った?」 「ううん、何でもなーい」 そう言って、ゆきちゃんは真新しいノートを開くと、鉛筆を持って新しく手に入った怪談を書き始めました。 「だから知ったらいけないって言ったでしょ?大輔君………」 その呟きは誰に気づかれることもなく、教室の喧騒へと消えていってしまいました………。
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