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いつのまにか眠ってしまったゆうちゃんは夢を見ました。
―――ちゃん………
ゆ―――ちゃん………
ゆうちゃん………
遠くから聞こえてくる声に誰だろうと、ゆうちゃんが振り返るとそこにはゆうちゃんが大好きだったおばあちゃんが立っていました。
「おばあちゃん!!!」
ゆうちゃんは嬉しくなっておばあちゃんに抱きつきました。
おばあちゃんも、抱きついたゆうちゃんの頭を優しく撫でてあげました。
会えて嬉しい!
だけど、ゆうちゃんはキーホルダーの事を思い出すとおばあちゃんに謝りました。
「おばあちゃんごめんなさい!」
ゆうちゃんはキーホルダーのことを全ておばあちゃんに話しました。
おばあちゃんは、ゆうちゃんが話し終わるまでただただ黙って話を聞いていました。
「ごめんなさい、おばあちゃん………!」
話し終えるとゆうちゃんの目からまた涙が出てきましたが、おばあちゃんは指で涙を拭ってあげると優しく笑いました。
「大丈夫よ、おばあちゃん全然怒ってないわ」
「でも!」
おばあちゃんは、ゆうちゃんの頭を撫でると優しく語りかけました。
「ゆうちゃん、覚えてるかしら?
泥棒をする人はもっと大切なものをなくすってお話を………」
ゆうちゃんのおばあちゃんは、色々なお話をしてくれましたがなかでもよくしてくれた話は泥棒をしてはいけないというお話でした。
泥棒をする人はもっと大事なものを無くしてしまう………だから、泥棒をしてはいけないよというお話。
ゆうちゃんは何度も聞かされた話なので勿論覚えていました。
それを覚えていたからこそ、恵里菜ちゃんの何度も返してと頼んだのです。
「大丈夫よ、ゆうちゃん
おばあちゃんが必ず取り返してみせるからね………」
そう言うとおばあちゃんの身体はだんだん透けていきました。
おばあちゃん待って!とゆうちゃんは叫びましたがおばあちゃんはニコニコと笑っていました。
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