第1章

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「すまない、誰だ?」 当時、このみちに進みそうな人物に心当たりがない。 聞いた方が早いと質問すると、相手は笑みを深めた。 突然、胸元を捕まれ引き寄せられる。 間近に、女性の顔があり目を見開く。 「俺だよ、飯坂一機」 眼光鋭く僕を睨み、低く野太い声を聞いて、僕は声が出なかった。 新たに告げられた名前は、高校では先生も恐れる不良だ。 それも、何故か高校三年間同じクラス。 学校行事で全生徒が集まる時は、名簿順の為必ず後ろに並ぶため、僕は言い知れぬ迫力から胃が痛かった。
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