学食で夕ご飯

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学食で夕ご飯

 石田と別れて、いつも真貴子先輩がポトフを食べている第一学生食堂に来たハルは、部活終わりの運動部の学生が大勢たむろしている中、真貴子先輩を探してキョロキョロしていた。 「おうい。ハル君じゃない。どうしたの今日は学食?」  ハルに声をかけて来たのはハルと同じ学科の早川優香里と塩見瑠奈だった。ゆるふわ系の可愛らしいお嬢様タイプの優香里が笑う。  その隣に立っているのは、すらりとした長身にショートカットが似合う瑠奈だった。瑠奈は男性とも女性とも違う第三の性であるユニセクシャルだ。整った顔立ちに文字通り中性的な魅力があり男女問わず学生たちからの人気も高かった。この二人はお互いに気が合うのか、サークルも同じで、よく二人で一緒にいるのを見かける。 「この時間、ハルきゅんが一人で学食とは珍しいな」  瑠奈はからかうようにハルに言った。優香里は現役入学だったが、瑠奈は一つ飛び級で入っているので、同じ学年であっても二つ飛び級のハルより二人とも年齢が上になる。ただ瑠奈とハルは同じ年度に飛び級で入学してきた同士で、ガイダンスなどでも色々と顔を合わせることも多く、今ではお互いに冗談を言い合う気の置けない間柄になっていた。 「いいかげん『きゅん』は止めてよ」 「ハルきゅんは、みんなの合法ショタ王子なんだから仕方ないだろう」 「そんなの瑠奈が勝手に言ってるだけだろう」  ハルは内心で、瑠奈だって男装の麗人風じゃないかと思ったが口には出さなかった。現代魔法社会により新しく誕生したユニセクシャルという性別は、広くに認知される様になってから未だ年数がそれほど経過していないこともあって、ユニセクシャルという性別に関して社会的にもデリケートな部分があった。 「えー。そんな事無いよ。優香里もハルきゅんの事をそう思っているよね」 「私に同意求めないでよ。まぁハル君が天然ショタなのは認めるけれど」 「優香里まで、そんな事を言う」 「ごめんごめん」  そう言って優香里は軽やかに笑った。そういう優香里の上品な笑い声にハルはかなわないなぁと思う。  こうやって普段通りに三人でからかい合っていると、しばし自分の喪失した下半身の問題を忘れる事が出来てハルには有り難かった。
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