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「ハル君は未だ大丈夫なんだよね」
「へ?「大丈夫」ってなにがだよ?」
「そりゃ優香里が言っているのは、ハルきゅんの「純潔」の事だよ。もうそんなものは無くなってしまっているのかも知れないけれど」
「瑠奈、先走らないで」
「えっ、えっ「純潔」って僕の?」
「いや、ハル君の性的嗜好がそういうのであれば、私達はどうこう言う資格は無いのだけれど」
「まっ。実際問題として、ハルきゅんがそっちの道に走るのも、僕としては有りだと思うけれどね。個人の生き方の問題だし」
瑠奈はそう言って学食の中華丼を食べ始める。当たり前の事の様に言う瑠奈の言葉にハルは慌てて否定した。
「無い無い無い無い。てか石田となんてありえない」
「じゃ誰ならありえるの?」
優香里がしつこく聞いてくる。
「だいたい僕はノーマルだよ。男はそういう対象じゃ無い」
「でも、喧嘩したら落ち込むような間柄なんでしょう?他にそんな人いるの?」
優香里が、さらにハルに問いただしてくる。
「いや、それは」
「それって「好き」ってことじゃないかしら?」
「違うよ。石田は僕の友達だから気にしてるだけだよ」
「本当にそれだけ?石田君の方はハル君の事はどう思っているの?」
「知らないよ。そんなの」
そういうやりとりを聞いていた瑠奈が、食べていた中華丼のレンゲで軽くハルの方を叩くような仕草をして口を開いた。
「ハルきゅんはさぁ。無自覚な所も魅力なんだけれど、その無自覚も過ぎると時には人も自分も傷つけてしまうことになるかも知れないよ」
瑠奈はこれまでになく真面目なトーンで言う。
「瑠奈大丈夫?」
優香里が心配そうに瑠奈の顔を覗き込む。
「え、何が?」
「いや、急に意味深ぽい事言うから」
「うーん。僕は自分自身がユニセクシャルってのもあって、人の色恋には色々と思う所もあるわけさ」
「瑠奈はハル君をおもちゃにしていただけじゃ無いのね」
「いや、おもちゃにはしてる」
「おいっ。こっちは迷惑だよ」
そう言い返すハルに瑠奈は笑いながら言葉を続ける。
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