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台所の瑠奈からケーキ皿とトングを託されたハルは、お皿の用意をして早川教授と向かい合う形でコタツに入った。
横には板場で正座している優香里の姿がある。その向こうでは瑠奈が紅茶を入れているという中々シュールな情景だ。瑠奈が用意してくれたケーキ皿の上にトングを使ってわざわざ早川教授が取り分けてくれた。
「今日は娘がとんだ迷惑をかけてしまったようだね。父親の私からもこの通り謝ります」
そう言って早川教授は頭を下げた。
「いえ、此方こそ優香里さんには日頃から色々と助けて貰っています」
「まぁ優香里のことだ。どうせ日頃から考えも無しに強引に君たちを引きずり回しているのでは無いのかね」
そう言って早川教授は優香里を睨む。
「いえ、とんでもない」
ハルはそう言うのが精一杯で、どう優香里をフォローして良いものやら見当もつかなかった。
「所でハル君。君は少しばかり面白い相が出ているね」
「え、どういう事ですか?」
「本来「男難の相」なんていう言葉は無いのだけれども、君にはどうも「女難の相」とも「男難の相」ともつかぬ相が出ている様だね。中々に珍しい」
「それはなにか厄介事に巻き込まれると いう事なのですか?」
「厄介事かどうかは、人それぞれの主観によるものだけれど、まぁ敢えて言うのならば、中々他の人には出来ない様な体験に巻き込まれるかも知れないね」
もしかして早川教授はハルの男性器がとれた事を言っているのだろうか。だとすると、さらにこれから何かおかしな事に巻き込まれると言うのだろうか。
「あらハル。おじ様に占って貰っているのかい?」
紅茶のセットを運んできた瑠奈が興味深そうに言う。
「うん。「女難の相」みたいなのが出ているんだって」
「ハルが女難ねぇ」
瑠奈は早川教授が取り分けてくれていたシュークリームを取り上げて、訝しげな顔でハルの方を見た。
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