帰宅

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「いやいや。瑠奈ん家には、優香里も一緒に行ってたし……」 「優香里って、早川優香里さんのことか!」  ハルの言葉に再び小塚が叫ぶ。 「そ、そうだけど」 「俺、優香里さんのファンクラブの会長だよ。俺は呪術学科なのに、勢い余って関係の無い早川教授の占星術のゼミまで受講する始末だ」 「小塚。お前何者だよ」  石田が呆れたように小塚に言う。 「しかし早川の家って門限とか厳しそうだから、途中で帰ったんじゃないか?」  早川教授の事を知っている石田はハルに聞いてくる。確かに酔いつぶれた優香里は父親の早川教授に抱きかかえられる形で途中で帰ったのだった。 「まぁ、そうだけど……」  ハルが呟くように答える。 「という事はハル。お前、やっぱり瑠奈様と二人っきりで一晩供にするつもりだったのかよ」  小塚が食いつく。 「いやいや。それは無い。僕は瑠奈に突き飛ばされて玄関先でへたり込んでいる間に、ドアを閉められて鍵まで掛けられたし」  石田と小塚の動きが止まる。顔を見合わせた二人だったが、小塚が恐る恐るハルに聞く。 「ハル。お前は一体何をしたんだ」 「いや、したんじゃ無くて僕はされた方だよ」 「だから何をだ?」 「えっ、お休みのキス だけど……」  ハルは、咄嗟に「キス」と言ってしまった。ハルの口から出た言葉に場の空気がざわつき、その様子見たハルは「しまった」と思った。慌ててフォローをするつもりで更に言葉を続ける。 「キスされたって言っても、おでこだよ。おでこ」 「おいおいおい。ハルは瑠奈様から『おでこキス』を受けたというのか!」 「ま、まぁそうだけど」  興奮する小塚に圧倒されつつも、ハルは事実を認めるしか無かった。 「で。それでお前は、そのまま何もしないで帰ってきたのか?」  石田が呆れたように言う。 「そ、そうだけど」 「そりゃハルよ。突き飛ばされて鍵を掛けられても文句は言えないわな。たとえハルの下半身があんな状態だって言っても色々やりようは在っただろうに」 「えっえっ?どういう事?」  「これだからお子様ショタ童貞は」  小塚がやるせない思いを叩きつけるようにして言った。
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