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「悪かったよ童貞で」
第一今の僕は「無い」のだから、そこはどうしようもない所だろうとハルは思った。
「悪いと思ったのなら、恥をかかせた瑠奈様に謝れ。『瑠奈様を愛でる会』の会員達に謝れ。当然俺にも謝れ」
「嫌だよ。小塚にだけは謝りたくない」
「なんだと」
「まぁまぁ。ハルが無事に帰ってこれたって事で良いじゃ無いか。小塚だってハルが未遂で終わった方が良かったんだろう」
石田が小塚に言う。
「そりゃまぁ、そういう考えもあるな。今のハルならどうやったって間違いは起こるはずもないし……」
ハルは石田の言葉が自分の事を助けに入ってくれたんだと思う一方で、瑠奈のことを石田はどう思っているのだろうか気になったのだが、それを聞くのは少々怖い気もした。真貴子先輩の事で石田と喧嘩をしたばかりで、さらに瑠奈の事まで良くない風な事を言われたらと考えると、少なくとも今は話題にしたくは無い。
「そうだ。石田にお土産があるんだった」
ハルは瑠奈の話題から外れようとして、早川教授に貰ったケーキの話をした。
「なんだよ?」
「ケーキだよ。部屋で一緒に食べよう」
そう言ってハルは持っていたケーキ箱を上げて見せて、自分達の部屋に向かった。
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