瑠奈の部屋

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 優香里のチューブトップを脱いで、Tシャツにデニム布のアウターを羽織った瑠奈は、撮影会の終わりを宣言して機材の撤収を要求した。 「はーい」   優香里は渋々カメラや三脚、ライトなどの機材の後片付けに入った。 「それとハル」 「なんだい?」 「言っとくけど、僕のベッドのシーツも布団も、新品の下ろし立てだったからね!」 「そ、そうなの?」  あっけにとられたように返答をするハルの様子を見て、瑠奈は自分が先走って唐突な事を言ってしまった事に気が付いた。  それは、とりも直さず、自分の汗の匂いなどを異性としてのハルに嗅がれてしまうという事に対して恥ずかしさを感じて焦ってしまったからで、その気恥ずかしさというのは、瑠奈自身が理解していた以上に大きかったようだ。  怒ったようにそっぽを向く瑠奈の横顔に、長いまつげの奥にある瞳を見たハルはどきっとした。 「ハル君。なに瑠奈に見とれてるのよ」  優香里がハルの横脇を突っつく。 「いや、そんなわけじゃ」  そう言って視線を逸らした先に、さっきまで瑠奈が着ていたチューブトップが畳んでおいてあって、その上に見慣れない二つの物体が置いて有るのをハルは見つけた。 「あれ、何?」  話題を変えるつもりで、ふと口に出た言葉だったが、ハルの視線の先に気が付いた瑠奈が叫んだ。 「ハルのスケベ!」 「えっ、何?」  ハルには何のことだか判らない。そんな様子のハルに優香里が言う。 「まぁ。瑠奈に聞くもんじゃ無いよね。キチンと仕舞っておかない瑠奈も悪いけど」 「だって僕、普段はそんなのしないんだもん。仕舞うとかいう習慣が無い」 「しときなよ。盛りすぎは駄目だけれど、少しあった方がシルエットが綺麗になるから。ハル君だって、偽乳でもあった方がいいでしょう?」 「えっ偽乳って、あれって胸のパット?瑠奈が付けてたの?」 「改めて聞くなよ!」  瑠奈は真っ赤になって怒った。 「まぁまぁ瑠奈。ハル君はおっぱい無くても気にしない人みたいだよ。よかったじゃん」 「また優香里はからかう様な事言う」 「いや、実際からかってんだけれどね」  そう言って優香里は笑った。
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