第1章

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皆さん、初めまして。宮田夕希です。今、危機的状況に陥っています。 「あんた、今なんて言ったの?」 微笑みながら目の前にいる男が私に問いかける。目が笑ってない笑みほど怖いものはない。 私がこんな目に遭っているのは掃除中の会話をこの男、黒谷綾に聞かれたのが原因。 「ね、黒谷くんて彼女いないらしいよ!」 「嘘!」 「ほんとだってー。黒谷くんと同じクラスの子に聞いたから!でもさ、納得じゃない?特定の子作らずに遊んでるって感じ」 「あー、確かに。でも、黒谷くんに遊んでもらえるならそれもいいなー」 「わかるー!1回でいいからデートしたい!宮田さんもそう思わない?」 「思わないかな」 「えー!なんで?かっこよくない?うちの学校で1、2を争うイケメンじゃん!」 「あんま興味ない」 ここまでは別に問題ないと思う。でも!この後私が余計な一言言わなければ!そうすれば黒谷に聞かれずに済んだのに…。 「それに、あーいうチャラそうな人ってナルシストっぽくて嫌かも。自分に酔ってますって感じじゃない?」 これを言ってる途中から2人が顔を強張らせた。どうしたんだろ?まさか本人がいるとかってオチなんてつまんなすぎでしょ~。 こんなこと思いながら振り向くと奴がいたんだよね…。恐ろしいほど綺麗な笑みを浮かべた黒谷が…。
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