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「へぇ~、楽しそうな話してるね。あんた、さっきなんて言ったの?」
たった5分前の会話でこんな目に遭っているのだ。神様はなんて理不尽なんだろう。わざわざ本人に聞かせるなんて。クラスメイトのA子とB子に話しかけられて正直に答えただけなのに。A子とB子は既にいないし、いるのは黒谷とその他3人。よく黒谷と一緒にいるメンバーだ。 逃げ場なんてない。
「ねぇ、聞いてる?」
こんなことを悠長に思ってる場合じゃなかった。目の前には黒谷の整った顔。そこに浮かぶのはとびきりの笑顔に見せた明らかにイラついてますっていう表情…。笑うんなら目も細めてよ…。
「や、えっと…」
まさか、本人が近くにいるなんて…。さっきの言葉は本心だけど、言われて嬉しがる人もいないだろう。ここは素直に謝ろう。
「すいませんでした…。」
これで解放されると思ったけど黒谷はニヤニヤし始めた。
「あのさ、俺はなんて言ったか聞いてんだけど。聞かれてることにちゃんと答えてよ」
…なんだこいつ。こういうこと聞く俺カッコイイとでも思ってんのかな?…ほら、やっぱりナルシストな勘違い男じゃん。こっちは素直に謝ってんのに。…イラついてきた。
「…あんたみたいにナルシストで自分に酔ってるやつは嫌いだって言ったの」
黒谷たちは一瞬驚いた顔をしていた。…ざまあみろ。
「…ふっ」
すると黒谷と一緒にいた3人が笑い始めた。
「あはは、宮田さんもわかってるねー!」
「顔がいいから他の女の子には俺様で通ってたけどな」
その言葉に黒谷は鬼の形相になっていた。怖っ。イケメンが台無し。ここまで顔って歪むんだね。…なんか笑えてくる。
「うるせぇぞ!お前ら!…お前もだ!にやけてんじゃねえ!」
「や、だって…。くくっ。顔、すごいよ」
「お前…!」
「まぁまぁ、黒ちゃん。本当のことだから怒んないの。」
「だいたい、お前が言わせたんだろ。自業自得。」
「ちっ。」
そう言われると黒谷は反論出来ないのか静かになった。それにしても1人全く喋ってない人いるけど、起きてんのかな。
「…なに?」
やばっ、見つめすぎた。
「なんでもないっす!」
「そ」
…え、それだけ?この人全然わかんない。
「ま、とにかくこの話はおしまい!いいよね?黒ちゃん?」
「…よくねぇ。」
ですよねー…。怒ってる顔笑っちゃったし。
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