第15話

10/37
前へ
/37ページ
次へ
『帰ろう』 その言葉に、彼女は最後まで頷くことはなかった―― 「……っん」 「江茉。まだ寒い?」 密室に響く水の音。 さっきまで耳にしていた雨音とは違う水音。 「だめ。声、でるっ」 「大丈夫だよ。竹さんには帰ってもらったし。今日は誰も戻らないから」 俺の首に腕を回してしがみつき、必死で甘い声を抑える江茉。 その身体を伝うシャワーの雫を舐めあげ、深く口づけた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2468人が本棚に入れています
本棚に追加