第15話

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「景くん」 「ん?」 「いいのかな」 「ん」 「私、ここにいても、いいのかな」 「うん。いて。いてくれないと俺が困る」 そうやって、続けたキスの合間に交わした会話。 「もう、江茉をどこにもやらない。誰にもやらない」 夢の中での出来事だと思ってくれても構わない。 頭のどこか片隅に、曖昧な記憶として置いていてくれるだけで充分。 長い長いキスの後、目を閉じ、穏やかな寝息をたてる江茉の額にそっとキスを落とした。 「おやすみ。大好きだよ」 子供の頃、眠りにつく江茉に伝えた言葉と一緒に――
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