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「もしもし。竹さんから連絡いった?」
江茉をひとりベッドに寝かせ、一階に降りると、キッチンにある冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、グラスに注ぐ。
『はい。ご無事で何よりです』
「そうだね。でも、ここだけの話。父さん達がいなくて助かったよ。江茉に余計な気を使わせなくて済んだ」
携帯から聞こえる堅苦しい声は、昼間に会った彼とはまるで別人。
『乾課長』の片鱗もない。
『また無理をさせたのでは?』
「人聞きの悪いこと言うね」
『彼女のこととなると見境がなくなるので』
「そこは自覚してるよ」
『なら、もう少し器用にやって下さい。大切にしたいのなら尚更』
グラスを口につける寸前、耳元で言われた厳しい言葉に思わず苦笑い。
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