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「明日はちゃんと出勤します、乾課長」
最後に冗談まじりにそう伝え、通話を終わらせて二階に上がっていく。
手には水が入ったグラス。
階段の踊り場に着くと、立ち止まり、視線を上に向けた。
踊り場を照らすように作られた大きな大きな窓。
そこから綺麗な月が見えた。
あぁ、雨、止んだのか。
階段の手すりに肘を置き、身体を寄りかからせて暫し月を愛でた。
細い月は青白い光を放ち、夜の静かな景色と、そこに佇む俺を暗闇の中からうっすらと浮かび上がらせる。
「……」
月が、あの日の情景と重なった。
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