第15話

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「言ったら駄目になる」 パタ。と、彼女の目尻に雫が落ちた。 「私は弱くない」 俺の髪を伝った雨。 「弱くない」 「うん。分かってる」 それをそっと親指で拭う。 「江茉はもう充分頑張ったし、充分償ったよ」 パタ。と、更にもうひと粒落ちた雫。 「もう解放してあげたら?」 それは彼女の瞳から。 「あの日の、幼い江茉を」 ハラハラ、ハラハラ。零れる涙。
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