プロローグ

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 そして決着は相打ち。魔王は虫の息となり、放っておいても死んでいただろう。  対する勇者も、手の施しようもないくらいに傷ついている。  最後に勇者が祖父に魔王にとどめを刺してくれと願い、祖父が魔王にトドメを刺したところで勇者は息を引き取ったそうだ。  魔王に剣を突き刺し、元々満身創痍だった祖父はそこで気を失った。  次に目を覚ますと、豪華な一室に寝かされて治療を受けていた。祖父が目を覚ますと、あたりはそれはもう狂喜乱舞したそうだ。  何事か理解のできない祖父を放っておいてまわりは祖父を勇者と崇め、様々なねぎらいの言葉が飛び交う。  祖父はそのまま流れに流され、気づけばそれはもう今更本当のことを言えるような状況ではなかったそうで、その事を知っているのはもう俺しかいないのだった。  祖父と、事実を知らなかったらしい祖母はすでに亡くなり、祖父の実の息子である俺の父親もその事実を知っていたのか知らなかったのかは分からないが、俺が幼い頃にすでに他界していた。  俺が中等部になった頃には家族はすでに母親だけになっていたが、お金は使いきれないほどあるのか、生活には不自由というものを感じたことはなかった。
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