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「みんなはそうは思ってないみたいだけどね」
エリナさんは呆れたように言う。
それは俺もわかっていることで、クラスメイトたちは目を輝かせて俺を見ている。
その中の一人となったグレイが、驚きの表情を浮かべていた。
「マルク……。お前……」
あら、もうグレイに正体ばれちゃったか。別に隠してたわけでもないけれども。
でも、少し前よりも俺に接する態度は変わってしまうだろう。
そのことに少し寂しさを覚えていると、グレイは興奮した様子で言った。
「めっちゃ強いじゃん! 何者だよ!」
「え?」
「ぶふっ。あはははは! なにそれ」
これにはエリナさんも吹き出した。
もしかしなくとも、グレイは思ってたより馬鹿だったのかもしれない。
素っ頓狂なことを言うグレイは、俺とエリナさんの反応に困ったように頬をかいた。
「俺そんな変なこと言ったか?」
笑うエリナさんにグレイがオロオロとしてるのがおかしくて、俺もつられて笑ってしまう。なんだか久しぶりに笑った気がして、さっきの戦いなどどうでもよくなっていた。
困った様子のグレイは文句を言うように抗議していたが、エリナさんになだめられていた。
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