語られない伝説

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 魔法とは、基本的に自身が開拓していくものであって、他人から教わるものではない。  固定された、つまり一般的に模範とされるような魔法など本当に数える程しか存在しない。  その中の一つとして『流刻』がいい例だ。  この魔法は、騎士になった者のみが使用を許され、その仕組みを教わる。このようにモデル化された魔法が少ない理由として、分からないからだ。  100人いれば100人とも魔法の発動機序は変わってくる。  例えば、火の玉を作る魔法があったとして、ある人は手のひらにエネルギーを集中させるイメージだとしても、他の人は赤色の玉を想像するだけの人もいる。  つまり、簡単な魔法ならおおよ固定された発動機序だが、複雑な魔法など言葉で説明などできない。それは個人の感覚、観念の違いであり一般かはできない。  これは俺の勝手な考えだが、魔法の発動までの機序はそれぞれ個人の固定観念、育ってきた環境に大きく左右されるのだ。  だからある家系はある種の魔法に専門的な強さを誇ったり、魔法の使えない両親を持つ子供は魔法が苦手な傾向があったりする。
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