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「いきなりで悪いがマルク、お前学校とか行きたくないのか?」
そう言ってきたのは、俺が属する騎士団の団長であるレイアス・フィードという還暦になったばかりのおっさんである。
模擬刀を振るのをやめて俺はきょとんとする。
「え、逆に行ってもよかったんですか?」
すると、レイアスさんはやっぱりな、と言いたげにため息とともに頭を抱えた。
「やっぱりそう思ってるよな。マルク、お前はもうこの騎士団に仮入団ということになっているが、お前の本分は学生だ。だから高校も行け」
「でももう受験まであと三ヶ月切ってますよ。別に騎士団で構いませんし」
「いやな、リオンとアイヴァンさんからお前は普通に生活させてやって欲しいと頼まれていてな。ま、今からでも遅くないだろうからどこでも受験してみろ」
リオンというのは俺の父親で、レイアスさんの元部下だ。元、というのはすでに他界しているからだ。
アイヴァンというのは俺の祖父。レイアスさんの元上司というわけだ。
その関係もあることから、15という前例の少ない若さで仮ではあるものの騎士団に身を置かせてもらっている。
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