魔法使いと魔法使いと狼男【Side:ユーリ】

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「カヤはやりすぎです。ライはもっと姫君になりきった方がいいと思いますよ」  本来なら私はノータッチのはずなのですが、こんなものを見せられては言わずにはいられません。  だいたい、配役がミスマッチこの上ないと思うんですけど……彼らはこれでいいんでしょうか。 「だからカヤが姫をやりゃ良かったんだよ。背が高いっつっても、俺よかマシだろ!」 「絶対嫌だ。なんで俺がドレスなんて着なきゃならないんだ」 「いつもの服と大差ねぇじゃねぇか!」 「大差ないわけないだろ! これは魔法使いの伝統あるローブ!」 「俺には似たようなもんにしか見えねぇよ!」 「賭けに負けたお前が悪いんだろ」 「ぐ……そりゃそうだけど……って言ってもなぁ、お前……どう見ても俺の姫姿なんて、笑いものになるだけじゃねぇか……」  ああ、そういうわけですか。  一応は、話し合いの上での決定事項だったんですね。では仕方ありません。  いくら姫役のライが、190を超える大男(※種族:狼男)だと言っても。  いくらその姿が、どう見積もっても姫どころか女……どころかまさしく男の中の男にしか見えないとしても。
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