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「もう一度最初からな」
「マジかよ」
身長はともかく、見た目、体格、声、どれを取っても逆の方がまだマシでしょう。
とは思うのですが、まぁ二人が決めたことですから、私が口を挟むことも出来ません。
これはこれで、ウケ狙いで行くなら、悪くはないとも思えますし。
私は面白おかしく観賞している子供たちの間に座って、ともかく再演を待ってみました。
「つーか。適役がいるじゃねーか。おい、ユーリ」
「……なんですか」
壊れた張りぼての馬を、カヤが直している間。ふと名案が浮かんだとばかりに手を打ったのはライでした。
嫌な予感がしながらも首を傾げると、
「お前が姫やれよ」
「どうしてそうなるんです」
「あ、別にいいよ。ユーリが姫やっても」
あっさりとそんな提案をされて、更にカヤからも軽く承諾されて、私は一瞬で気が遠くなりました。
確かに、私の身長は170半ば(※種族:魔法使い。カヤも以下同文)しかありません。二人に比べれば幾らか低いです。でも、だからってそう言う問題ではないと思います。
全く、何て浅はかな友人たちなんでしょうか。
台本も見たことがない、稽古を目にしたのだって今日が初めての私に、そんな大役がこなせるはずがありません。
「どうせなら王子役にしてください」
……まぁ、結局はそういう話なんですが。
だって、どうせやるなら、格好いいと言われたいじゃないですか?
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