00.Prologue

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「いい香り」  部屋の中は、爽やかなハーブの香りに満たされていた。 「おはようございます、先生」 「ああ、おはよう」  ユアは幸せそうに頬を綻ばせ、いつもの定位置についた。ハーブティー以外にも、焼きたてのパンとサラダを取り分けている青年の向かいの席だ。丸いテーブルに椅子は三脚あったけれど、一脚はずっと空席で、 「カヤ先生、今日こそ私、できそうな気がするの」 「ああ、それでそんな笑顔なんだ」  残りの二つがユアと”カヤ先生”の席だった。 「えっ、私そんなに顔に出てる?」  ユアはフォークで突き刺したトマトを落としそうになりながら、仄かに頬を染めた。  カヤは傾けていたハーブティーのカップをソーサーに戻し、優しく笑う。 「うん、何か自信がありそうな表情っていうか……。その様子だと、本当に今日はできるかもしれないね」
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