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「いい香り」
部屋の中は、爽やかなハーブの香りに満たされていた。
「おはようございます、先生」
「ああ、おはよう」
ユアは幸せそうに頬を綻ばせ、いつもの定位置についた。ハーブティー以外にも、焼きたてのパンとサラダを取り分けている青年の向かいの席だ。丸いテーブルに椅子は三脚あったけれど、一脚はずっと空席で、
「カヤ先生、今日こそ私、できそうな気がするの」
「ああ、それでそんな笑顔なんだ」
残りの二つがユアと〝カヤ先生〟の席だった。
「えっ、私そんなに顔に出てる?」
ユアはフォークで突き刺したトマトを落としそうになりながら、仄かに頬を染めた。
カヤは傾けていたハーブティーのカップをソーサーに戻し、優しく笑う。
「うん、何か自信がありそうな表情っていうか……。その様子だと、本当に今日はできるかもしれないね」
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