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うちの近所には、おかしなお菓子屋さんがある。
その名の通り、本当におかしなお菓子屋さんなのだ。
店の名前も『おかしなお菓子屋さん。』だからシャレにならない。
「今日のお菓子はちょっとしょっぱかったねー」
「昨日の夜、動物映画見て泣いたらしいよ(笑 )」
「あ、涙味か(笑 )」
今日のお菓子はちょっとしょっぱいらしい。
この間はものすごく甘かった。
それはもう、激甘。
その激甘お菓子の前日の夜に店長は恋愛映画を見たらしい。
恋愛したいのか?
その想いがお菓子に現れたみたい。
そう、おかしなお菓子屋さん。の店長の気分次第でお菓子の味がコロコロと変わるのだ。
材料の分量はいつも同じなのに、店長の気持ち次第で味が変わる。
だいたい普通の気分の時は問題なく美味しいケーキやクッキー。
だけど、気持ちが浮き沈みする出来事があったら味がブレる。
けれど、不思議な事に不味くはないのだ。
商品として出して売れてるし。
カラン カラン
私は店のドアを開けた。
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