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泥酔帰宅
昨夜の飲み会で飲み過ぎた。
一応アパートには辿り着いたものの、足取りはふらふら。もうダウン寸前。
というか、部屋に入るなり玄関先で意識が途切れた。
どのくらい時間が経っただろうか。
覚めた目に見知らぬ景色が映る。
玄関から見える部屋が俺の部屋じゃない…しまった! どうやら隣の部屋にでもうっかり入り込んでしまったらしい。
慌てて部屋を飛び出し、廊下であれこれ考える。
どうして隣に転がり込めたんだろう。不用心にも鍵がかかってなかったのか? だとしても、押し入った俺が言えることじゃないけれど。
というかそもそも、隣の人はどうしてたんだろう。
たまに顔を合わせる程度だけれど、いきなり俺が入り込んで来たら、どうしたのかとか聞くくらいするだろう。
もしかして留守だったのかな? あるいは、俺がいきなり入って来てねちゃったから、もうどうしようもなくて放置したとか?
何にしろ、謝らないといけないよな。
そう思い、隣へ向かおうとしたところでふと気づいた。
今、俺、廊下の奥からこっちに飛び出して来たよな?
でも、一番奥が俺の部屋なんだけど…。
それに、今思い出したけど、お隣さんは先週引っ越したから、隣の部屋には誰もいないし入れもしない状態だった。
俺の部屋のドアノブを回す。昨夜開けてない証拠のようにガチャガチャ鳴るだけで開かない。
隣の部屋のノブを回す。こっちもやっぱり開かない。
自分の部屋には帰ってない。隣に転がり込むことも不可能。そもそも、さっき俺は、自分の部屋の向こうからここまで歩いて来た。
…昨夜俺はどこにいたんだ?
真相は、まったく甦ることのない泥酔時の記憶の底だ。
泥酔帰宅…完
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