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一体どこから持って来たのか、紐付き洗濯バサミを取り出した奴らは、
僕の下着を挟むと力一杯振り回した。
教室の隅でそれを見ていた女子達の顔が、みるみる内に歪んでいく。
「ちょっと!それ古谷のでしょ!振り回すのやめてくんない?」
「ふざけんなし……こっちに飛ばしたら、ガチで許さないから。」
普段はノリのいい女子達に、冗談抜きで怒られた野郎どもは、
仕方なくオモチャを放り投げると、
「おい!帰るぞ!こっちは暇じゃねーんだよ!」と喚きながら、
みんな仲良く退散して行った。
女子達の文句がタラタラと廊下から聴こえてくる。
モテたくてやっているのに……何とも可哀想な奴らだ。
誰もいない放課後の教室に、たった一人取り残された僕は、
無様に投げ捨てられたトランクスを拾い上げると、
校内でも無人で知られるトイレに持ち込んで、綺麗になるまで洗った。
改めて履く気にはなれない。
けれど変な汚れを残して両親に心配をかけたくはないし、
家で洗おうにも、母親に隠し通すのはほぼ不可能に近い。
中学に入学してから続いているこの悪質な嫌がらせは、
2年に進級してクラスが変わっても収まる所を知らず、
むしろエスカレートした。
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