#01 * 雪将

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一体どこから持って来たのか、紐付き洗濯バサミを取り出した奴らは、 僕の下着を挟むと力一杯振り回した。 教室の隅でそれを見ていた女子達の顔が、みるみる内に歪んでいく。 「ちょっと!それ古谷のでしょ!振り回すのやめてくんない?」 「ふざけんなし……こっちに飛ばしたら、ガチで許さないから。」 普段はノリのいい女子達に、冗談抜きで怒られた野郎どもは、 仕方なくオモチャを放り投げると、 「おい!帰るぞ!こっちは暇じゃねーんだよ!」と喚きながら、 みんな仲良く退散して行った。 女子達の文句がタラタラと廊下から聴こえてくる。 モテたくてやっているのに……何とも可哀想な奴らだ。 誰もいない放課後の教室に、たった一人取り残された僕は、 無様に投げ捨てられたトランクスを拾い上げると、 校内でも無人で知られるトイレに持ち込んで、綺麗になるまで洗った。 改めて履く気にはなれない。 けれど変な汚れを残して両親に心配をかけたくはないし、 家で洗おうにも、母親に隠し通すのはほぼ不可能に近い。 中学に入学してから続いているこの悪質な嫌がらせは、 2年に進級してクラスが変わっても収まる所を知らず、 むしろエスカレートした。
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