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「そろそろいいかな……」
心なしか少し色落ちしたような……なんて思いながら、
下着を絞っていた時、個室の方から微かな物音がした。
「え……嘘、でしょ?」
僕の中学校は古く、由緒正しい歴史を持つ。
その分、妙な噂の類も多くて、学園七不思議まであるらしい。
詳細は記憶していないが、
確か『男子トイレの何とか』ってのがあったような気もする。
いや、あれは小学校だったか……?
「ますます気味が悪いな……」
だが僕は周知のオカルト好きだ。3組のオタク、雪将くんだ。
ん……?オカルトとオタクって、全く被ってないな。
じゃあ、オタクの意味ってなんなんだろう……
「とりあえず、っと。」
音がした一番奥の個室トイレのドアを押してみた。
びくともしない。
もう一度、今度は引いてみたが、同じだった。
つまり、内側から鍵がかかっているって事か……
「と、なると!」
僕は隣の個室に入って、タンクの上に足を乗せた。
登れるかな……ここ一年で、5kgも太ったこの身体で。
案外、どうってことはなかった。元が細すぎたのだ。
軽々とよじ登って、例の個室を上から覗いてみる。
驚くことに、
そこにいたのは、
僕を見上げて少し震えている、
少女だった。
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