#01 * 雪将

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「そろそろいいかな……」 心なしか少し色落ちしたような……なんて思いながら、 下着を絞っていた時、個室の方から微かな物音がした。 「え……嘘、でしょ?」 僕の中学校は古く、由緒正しい歴史を持つ。 その分、妙な噂の類も多くて、学園七不思議まであるらしい。 詳細は記憶していないが、 確か『男子トイレの何とか』ってのがあったような気もする。 いや、あれは小学校だったか……? 「ますます気味が悪いな……」 だが僕は周知のオカルト好きだ。3組のオタク、雪将くんだ。 ん……?オカルトとオタクって、全く被ってないな。 じゃあ、オタクの意味ってなんなんだろう…… 「とりあえず、っと。」 音がした一番奥の個室トイレのドアを押してみた。 びくともしない。 もう一度、今度は引いてみたが、同じだった。 つまり、内側から鍵がかかっているって事か…… 「と、なると!」 僕は隣の個室に入って、タンクの上に足を乗せた。 登れるかな……ここ一年で、5kgも太ったこの身体で。 案外、どうってことはなかった。元が細すぎたのだ。 軽々とよじ登って、例の個室を上から覗いてみる。 驚くことに、 そこにいたのは、 僕を見上げて少し震えている、 少女だった。
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