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「僕は今、隣の個室から君を見ているんだよ。
つまりそこは空いていて、使える状態ってことだ。」
それを見た少女は恥ずかしそうに笑って、またメモを渡してきた。
”そっか、そうだね”
「うん……そうだよ」
”ところで、洗濯は終わったの?”
「……洗濯って?」
僕は内心ドキリとしながらも、平然を装って答えた。
”さっき何か洗ってなかった?”
「ハンカチだよ。ハンカチ。」
僕は一旦タンクから降りて、服を軽くはたいた。
少し制服を整えて、少女のいる個室のドアを3回ノックする。
ドアは思ったよりもすぐに開いた。
不思議そうな目が、僕を見返している。
「ところで……いつまで筆談を続けるのかな?
時間がかかるし、会話の効率も決して良くはないと思うんだけど。」
こういう所が嫌われるってことは、薄々分かっていた。
それでもやめられない。こういう性格だから。
少女はじっと僕を見て、小さな口をゆっくりと大きく動かした。
<きこえる?>
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