#01 * 雪将

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「僕は今、隣の個室から君を見ているんだよ。  つまりそこは空いていて、使える状態ってことだ。」 それを見た少女は恥ずかしそうに笑って、またメモを渡してきた。 ”そっか、そうだね” 「うん……そうだよ」 ”ところで、洗濯は終わったの?” 「……洗濯って?」 僕は内心ドキリとしながらも、平然を装って答えた。 ”さっき何か洗ってなかった?” 「ハンカチだよ。ハンカチ。」 僕は一旦タンクから降りて、服を軽くはたいた。 少し制服を整えて、少女のいる個室のドアを3回ノックする。 ドアは思ったよりもすぐに開いた。 不思議そうな目が、僕を見返している。 「ところで……いつまで筆談を続けるのかな?  時間がかかるし、会話の効率も決して良くはないと思うんだけど。」 こういう所が嫌われるってことは、薄々分かっていた。 それでもやめられない。こういう性格だから。 少女はじっと僕を見て、小さな口をゆっくりと大きく動かした。 <きこえる?>
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