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聞こえなかった。それでも僕は頷いた。
「うん。聞こえるよ。」
<ほんとうに?すごい!>
歓喜を通り越して、感動にも近い少女の反応を見て、
思わず聞きたくなった。
「君、名前は?」
”… じ や う た こ ”
あじや、かじや、さじや、たじや…………待てよ。
かじや うたこ?
どこかで聞いたことのあるような……
そうか!
2年から同じクラスになった、あの、梶谷歌子じゃないか!
入学式以来一度も学校に顔を出してないのに、
常に学年トップクラスの成績を誇っていることで有名だ。
「君が、梶谷さん……?」
<うたこでいいよ>
「う、うたこさん…」
<あなたのなまえは?>
「古谷 雪将。」
<ふるやくん>
「雪将でもいいよ。」
<よろしくね、ゆきまさくん>
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