#01 * 雪将

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聞こえなかった。それでも僕は頷いた。 「うん。聞こえるよ。」 <ほんとうに?すごい!> 歓喜を通り越して、感動にも近い少女の反応を見て、 思わず聞きたくなった。 「君、名前は?」 ”… じ や う た こ ” あじや、かじや、さじや、たじや…………待てよ。 かじや うたこ? どこかで聞いたことのあるような…… そうか! 2年から同じクラスになった、あの、梶谷歌子じゃないか! 入学式以来一度も学校に顔を出してないのに、 常に学年トップクラスの成績を誇っていることで有名だ。 「君が、梶谷さん……?」 <うたこでいいよ> 「う、うたこさん…」 <あなたのなまえは?> 「古谷 雪将。」 <ふるやくん> 「雪将でもいいよ。」 <よろしくね、ゆきまさくん>
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