#01 * 雪将

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「その…とりあえず、一回そこから出てみるのはどうだろう?」 僕の唐突な話題転換に、少し困ったような表情を見せて、 歌子さんは便座から立ち上がった。 ここで一点、絶対に誤解しないでほしいのは、 歌子さんが座っていた便座は、きちんと蓋が閉められていて、 当然制服もちゃんと着ていたし、 事の真っ最中に僕が上から覗き見した、 なんて事件は起こっていない。 分かってはいると思うけど、 一応、その、念の為というやつだ。 ご存知の通り(ご存知ではないかもしれないが)、 僕には友達がいない。 男女関わらず、何故かも分からず、 とにかく気づいた時にはそうなっていた。 だから僕は、 この少々イレギュラーな境遇に賭けた。
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